コンサルに中途で入るとき、どの職位で入るかは大きな問題です。コンサルでは職位を「ランク」と呼び、ランクによって年収と、求められる仕事の水準が決まります。
多くの人は、できるだけ高いランクで入ろうとします。年収が高くなるからです。しかし、私たちは逆のことを勧めています。未経験でコンサルに入るなら、ファームにお願いしてでも、一つ下のランクで入ったほうがよいです。
理由は、高いランクで入ることが、入社後につまずく最大の原因だからです。この記事では、ランクの決まり方と、一つ下で入ることを勧める理由を説明します。
中途入社のランク(職位)は、社会人経験の年数でおおよそ決まる
中途で入る場合のランクは、社会人としての経験年数と、前職の内容でおおよそ決まります。戦略ファームを例にすると、次のような目安です。
- 社会人経験1〜3年:新卒と同じランクから始まります。
- 社会人経験4〜10年:その一つ上のランクから始まることが多いです。
- 社会人経験10年以上、または海外MBAの取得者:さらに上のランクから始まります。
総合ファームでも考え方は同じで、30代で経験が長い人ほど、シニアコンサルタントなど上のランクを提示されやすくなります。
高いランクで入ると、最初から求められる水準が高い
上のランクで入るということは、入社したその日から、そのランクの人として扱われるということです。コンサルの仕事の進め方をまだ知らない段階で、経験者と同じ水準を求められます。
管理職に近いランクになると、さらに厳しくなります。コンサルの管理職は、自分でも手を動かす立場です。まず一人の担当者として、部下を上回っていないと話になりません。
実際に、未経験でいきなり上のランクに入った人は、昇進に時間がかかることが多いです。昇進そのものが難しくなることもあります。
入社後につまずくと、悪循環に入る
教えを請う立場なのに、自分より下のランクの人より分かっていない、できない。この状況は、気持ちの面でかなりきついです。
そこで深みにはまると、悪い評価を受けて自信を失い、仕事への意欲が下がり、さらに成果が出なくなります。この悪循環に入ってしまう人を、私たちは何人も見てきました。入社直後の評価は、その後に入れる案件にも影響します。
一つ下のランクで入れば、立ち上がりが確実になる
一つ下のランクで入れば、分からないことを気軽に聞けます。できなくて当たり前という扱いなので、基礎から身につける時間が取れます。
最初の案件で確実に成果を出せば、評価が上がり、次に良い案件に呼ばれます。出だしでつまずかないことが、その後のすべてを楽にします。
ランクは、実力を示せば1年ほどで上がる
「下のランクで入ると損をする」と考える人は多いです。しかし、コンサルファームでは、一度実力を示せば、1年ほどで上のランクに上がれます。
戦略ファームでは、早い人で1年から1年半で昇進します。総合ファームでも、力のある人は短期間で上がっていきます。私たちのうち1人は、未経験で総合ファームに入り、2年で年収が倍になりました。
上のランクで入って2年間苦しむより、一つ下で入って1年で上がるほうが、結果として早く、しかも高い評価とともにそのランクに着けます。入るときのランクは誤差だと考えてください。
転職エージェントが高いランクを勧めがちな理由
転職エージェントは、候補者を上のランクで入社させようとすることがあります。上のランクのほうが年収が高く、エージェントが受け取る紹介手数料も高くなるからです。
私たちもエージェントなので、同じ構造の中にいます。それでも一つ下を勧めるのは、入社後につまずいた人がその後どうなるかを、ファームの中で見てきたからです。入社が決まることよりも、入社後に活躍できることのほうが大事です。
提示されたランクに不安がある場合は、ファームに相談すれば、一つ下のランクでの入社に応じてもらえることがあります。遠慮する必要はありません。
総合ファームでは、年収との釣り合いでランクを決めてもよい
ここまで一つ下を勧めてきましたが、戦略ファームと総合ファームでは、事情が少し違います。
戦略ファームに、未経験で上のランクから入るのは、かなり厳しいです。こちらは、一つ下を強く勧めます。
総合ファームの場合は、上のランクで入って、そのまま続けている人も一定数います。一つ下のランクで入ると、前職より年収が下がることもあります。年収が下がることで仕事への意欲が落ちるのであれば、それも無視できません。安全なのは一つ下ですが、総合ファームであれば、年収との釣り合いを見て決めても構いません。
提示された高いランクで入ってよい人
もちろん、全員が下げるべきだというわけではありません。次のような人は、提示されたランクで入って問題ありません。
- コンサルの経験がある人。 他のファームからの転職であれば、仕事の進め方はすでに身についています。
- 前職とまったく同じ領域の専門家として入る人。 業界や業務の知識で、最初から周りを上回れる場合です。
- ファームの側から請われて入る人。 若くして要職にあり、自分の力でお客さんを連れてこられるような人です。
コンサル経験者が他のファームに移るときのランク
コンサルの経験者が他のファームに移る場合の、ランクの目安も書いておきます。
- 総合ファームから戦略ファームに移る場合。 ファームの側から、ランクを一つ下げて提示されることが多いです。それでも、戦略ファームのほうが給与水準が高いので、年収は下がらないのが普通です。
- 戦略ファームの間で移る場合。 同じ水準のファームに移るなら、原則として同じランクです。より入るのが難しいファームに移る場合は、同じランクのことも、一つ下がることもあります。
- 規模の違うファームに移る場合。 規模の大きいファームに移るときは、ランクが一つ下がることがあります。面接の評価が良ければ、同じランクで移れます。
戦略ファームの間で移るなら、一度昇進してからのほうが通りやすいです。入社して間もない時期は、将来性で判断されるので、合否が読みにくくなります。昇進していれば、経験者として見てもらえます。
なお、今より上のランクで他のファームに移る転職は、採用が過熱している時期に増えます。しかし、入社後に求められる水準に届かず、苦しくなる人が多いです。ランクを上げることを目的にした転職は、勧めません。