「コンサルの経験がなくても、転職できますか」「入ってから、ついていけるでしょうか」。未経験の方から、最も多くいただく相談です。
結論から言うと、未経験でも入れますし、活躍している人はたくさんいます。コンサルは中途採用が活発で、前職の職種に関係なく門戸が開かれている業界です。私たち2人も、事業会社から中途でコンサルに入りました。
ただし、入った後に活躍できるかどうかは、人によってはっきり分かれます。分かれ目は、前職の業界や職種よりも、考え方と姿勢にあります。
未経験からコンサルで活躍できる人の特徴
突き詰めて考えることを、苦に思わない人。 コンサルに向いているかどうかを最も左右するのは、ここです。売上のデータを見たときに「この数字からさらに何が言えるか」を自然に考え始める。「最近売上が落ちている」と聞いたら、なぜ落ちているのかを自分から掘り下げたくなる。そういう人は向いています。日常の中でも「なぜこうなっているのだろう」と自然に考えてしまうかどうかを、自分に問いかけてみてください。
興味のない分野にも、同じ熱量で向き合える人。 コンサルは、好きなことにだけ没頭できる人が活躍する仕事だと思われがちですが、実態は逆です。明日から、聞いたこともない業界の案件に入ることがあります。その業界のお金の流れ、主要な会社、業務の進め方を短期間で理解して、クライアントと議論できる状態にしなければなりません。
数字を避けない人。 高度な数学は要りません。仕事で使うのは算数です。ただし、財務諸表を読んで、どこで利益が出ていて、どこでお金が漏れているかをつかめないと、議論の入り口に立てません。
自分の頭で考え、主体的に動ける人。 言われたからこうやる、という姿勢ではなく、自分の頭で考える癖をつけて、案件を主体的に楽しめる人は、自然と活躍します。最初のうちはたくさん勉強することも勧めます。やらない人が多いので、それだけで差がつきます。
年次よりも成果で評価されたい人。 自分の裁量で仕事を進めたい人、成果で評価されたい人は、コンサルに合うことが多いです。前の職場では力を出し切れなかった人が、コンサルに来て生き生きと活躍する例を、私たちは何人も見てきました。良い悪いではなく、合うかどうかの問題です。
仕事での成長を、自分の成長だと思える人。 仕事をしていない時間だけが自分の時間だ、と考える人には、コンサルは合いにくいです。休日に仕事に関係する本を読むことが苦にならず、趣味の一部のように感じられる人は向いています。
未経験からコンサルに転職して苦労する人の特徴
興味が持てないことには、頭が働かない人。 文章を書く力や伝える力が高くても、中身を理解することから逃げていては、コンサルの仕事は回りません。
決まった基準に当てはめる考え方から、抜けられない人。 法律や会計基準のような明確なルールに沿って仕事をしてきた人は、最初に壁にぶつかります。コンサルは、正解がなく、頼れる基準もない中で、自分で論点を立てて提言する仕事だからです。「で、結局あなたはどう考えるのか」と何度も問われます。
年下に教わることができない人。 30代後半以降で入ると、同僚や上司の大半が年下になります。コンサルは率直に物を言う文化なので、年上であっても、良くない資料には率直に指摘が来ます。「前職ではこうだった」「この業界ではこうなのだ」と言いたくなる気持ちを抑えて、素直に教えを請えるかどうかが問われます。
論理的で淡々とした同僚と、うまくやれない人。 コンサルには、そういう人が多くいます。この雰囲気がどうしても合わない人は、長く続けるのが難しいです。
相手が何を気にしているかを、読もうとしない人。 コンサルの仕事は、ほとんどがコミュニケーションです。目の前の上司やクライアントが何を気にしていて、何を求めているのかを読み、確かめながら進めます。資料も、その一つの形です。学歴が高くても、ここが弱い人は苦労します。
知識を集めるところで止まってしまう人。 よく調べていて知識はあるのに、自分の問いや仮説に絞り込めない人です。コンサルの仕事は、目の前の会社や事業をどう切り取り、何を問題として設定するかで決まります。調べることと、考えることは別です。
内向的な人でもコンサルには馴染める
「人付き合いが得意ではないのですが、やっていけますか」と聞かれることがあります。コンサルには社交的な人が多い、という印象があるようです。実際には、そうでもありません。社交的ではない人も、楽しそうに仕事をして活躍しています。
理由は3つあります。
- 案件ごとにチームが入れ替わるので、合わない人がいても、ずっと一緒に働くわけではありません。
- 組織に溶け込むことや、付き合いの良さを強く求められることが、比較的少ないです。
- 人間関係ではなく、成果で認めてもらえます。入社してしまえば、学歴も問われません。
前職別に見る、コンサルでの強みと最初の壁
SIerやIT企業の出身者。 総合ファームに移る人が多い層です。技術の知見を持ったうえで、より上流の業務の設計から関われることが強みになります。年収が大きく上がることも多いです。戦略ファームに入った場合も、最初はITに関わる案件に入りやすいですが、成果を出せば、それ以外の案件も選べるようになります。
メーカーの技術職。 論理的に考える力と分析の力の土台があるので、コンサルの考え方を身につけるのが早い傾向があります。製造業や技術の領域の案件で、クライアントの技術者と対等に話せることは大きな強みです。
金融機関や総合商社の出身者。 資料を作る力や、利害の異なる人たちを調整する力は、そのまま生きます。投資銀行の出身者は、戦略ファームも十分に狙えます。注意点は年収で、入社直後は前職より下がることがあります。
事業会社のマーケティングの出身者。 コンサルとの相性がよい経歴です。消費財やヘルスケアを担当するチームでは、マーケティングが支援の中心になることが多く、経験者は重宝されます。コンサルでは、全社の戦略や新規事業といった、より広いテーマにも関われます。その後に、外資系を含む事業会社のマーケティングの職種へ、良い条件で移る人も多いです。
証券会社のアナリストなど、資本市場を知る人。 企業価値の向上や、株主への対応を支援する案件は、戦略ファームで増えています。資本市場の側を経験した人はコンサルに少ないので、重宝されます。
海外駐在を経験した人。 海外が関わる案件で、その経験がそのまま強みになります。
広告代理店の出身者。 提案書を作る、クライアントの要望をくみ取る、複数の関係者を調整するという経験は、コンサルでも役に立ちます。最初の壁は、「良い仕事」の基準の違いです。広告では表現の質や話題性が評価されますが、コンサルでは事実に基づいた論理的な提案が求められます。
弁護士や会計士などの士業。 戦略ファームに移る人もおり、上の職位まで昇進した人もいます。ただし、先ほど書いたように、基準に当てはめる考え方からの切り替えが必要です。考え方が柔らかい若いうちに動くほうがよいです。
官公庁や自治体の出身者。 公共分野を担当する部門に入ることが多いです。その後に民間企業へ転職する道は広くないので、コンサルを長く続けるつもりかどうかを、先に考えておく必要があります。
どの出身であっても、現場の業務を実際に経験していることは、大きな強みです。現場で働く人が何を考え、どんな仕組みを使い、どこに困っているのか。これを自分の経験として知っている人は、知らない人よりも、はるかに大きな価値を出せます。
コンサルの中途入社は、上の職位になるほど強みが出る
中途で入った人は、最初は苦労します。新卒で入った人は、基本の動作を徹底して身につけています。資料を作る速さや分析の手際では、入社してしばらくは差を感じるはずです。
しかし、マネージャー以上になると、立場が変わります。クライアントの会社の中で、物事がどう決まり、誰が力を持っているのかを理解しているか。業界のことを、自分の経験として語れるか。これが、案件を進めるうえでも、新しい案件を獲得するうえでも、大きな武器になります。
また、一定の年齢で入ってくる人は、ここで勝負するという意思がはっきりしています。その分、長く続ける人が多く、パートナーまで上がる人も少なくありません。
未経験のコンサル転職で、立ち上がりに失敗しないために
未経験で入る人に、私たちが勧めていることが2つあります。
1つは、前職に近い分野から始めることです。自分がいた業界や、扱ってきた業務に近い案件に入れば、最初から土地勘のある仕事ができます。なじみのない分野に最初に入ると、会議で話されている言葉からして分からず、力を発揮できません。
もう1つは、無理に高い職位で入らないことです。高い職位で入ると、最初から求められる水準が高く、つまずく最大の原因になります。
入社後の最初の案件を決める面談では、自分の得意な分野をはっきり伝えてください。コンサルの仕事の進め方が分からない段階で、知らない業界の案件に入ると、進め方も業界も分からないという二重の苦労になります。前職の知見がある分野であれば、仕事の進め方を学ぶことに集中できます。未経験の分野に挑戦するのは、仕事が軌道に乗ってからで遅くありません。
案件を選べる場合は、丁寧に教えてくれると評判のマネージャーの案件を選ぶことを勧めます。そのファームの典型的な案件に入り、仕事の型を覚えることも大事です。
なお、中途で入った人が、最初から問題の起きている案件に入れられることは、まずありません。未経験の人は、最初は教える手間がかかる存在です。問題の起きている案件に入れても、ファームにとって合理的ではないからです。
ある程度の力がある人が、覚悟を持って入れば、思っていたよりもやっていける、と感じることが多いです。過度に恐れる必要はありません。