ケース面接では、お題を与えられて考える時間をもらった後、最初に自分の答えを発表します。この最初の発表を、どこまで詳しく話すべきか。多くの人が悩む点です。

網羅して一つひとつ理由まで話すと長くなる。短くまとめると、考えが浅いと思われそうだ。その間で迷います。

結論から言うと、最初の発表は2〜3分にまとめるのが最適です。2〜3分を目指して、少し超える分には問題ありません。私たちのうち1人は、戦略ファームを一通り受けて入社しました。その経験と、受ける側、見る側の両方から分かったことをお伝えします。

ケース面接は発表ではなく、面接官との議論である

なぜ2〜3分なのか。一番の理由は、ケース面接が発表の場ではなく、議論の場だからです。

面接官が最初の発表で見ているのは、あなたが問題の全体をどう捉え、どこを論点に置いたかという、考えの骨組みです。細部まで詰め切った完成品を聞きたいわけではありません。

最初の段階で論点を示し、そこから面接官と一緒に答えを作っていく。このやり取りこそが評価される場です。最初にすべてを話し切ってしまうと、その余白がなくなります。

最初の発表を長く話すと、3つの損をする

長く話すことには、実害があります。

  1. 論点がずれていたとき、話した内容がすべて無駄になる。 5分かけて話した後に、掘るべき論点が違うと指摘されると、取り返しがつきません。
  2. 面接官が、議論の糸口をつかめない。 面接官はあなたの最初の仮説に質問を重ねたいのに、話が長いと、どこから入ればよいか分からなくなります。
  3. 前提から考え直すよう、差し戻されることがある。 最初の発表が長いと、そもそもの置き方から見直したほうがよい、と言われることがあります。

簡潔に出して議論に入るほうが、結果として評価されやすいです。

特に避けたいのは、背景の説明から話し始めることです。どれだけ経歴が良い人でも、だらだらと前置きから話し始めれば、それだけで評価を落とします。ケース面接に、経歴による下駄はありません。

ケース面接で話す順番:結論、検討の流れ、評価の軸、打ち手

最初の発表は、結論から順に、上から下へ組み立てるのが基本です。次の順番で話します。

  1. 結論。 最初に、自分の答えを言い切ります。
  2. 検討の流れ。 どういう順番で考えたのかを示します。
  3. 評価の軸と、結果を左右する要因。 何を基準に判断し、何が結果を動かすのかという骨組みを見せます。
  4. 打ち手。 具体策の方向を示します。

この順番で、2〜3分にまとめます。

ケース面接では、戦術の前に戦略を考える

ケース面接では、「戦略を考えてから戦術に移れ」とよく言われます。最初の発表で結論を言い切るためにも、この順番は大事です。

戦略とは、市場の環境や競合を踏まえて、どういう方針で攻めるかを決めることです。戦術とは、その方針を実現するために、具体的に何をやるかです。売上を要素に分解するといった作業は、戦術そのものではなく、分析の手法です。分解から始めてしまうと、全体の方針が見えないまま、細かい話に入ってしまいます。

戦術の部分は、市販のケース面接の対策本で十分に鍛えられます。一方で、戦略の部分に特化した対策本は、ほとんどありません。経営戦略の基本的な考え方を本で一通り押さえ、そのうえで実際にケースを解いて鍛えてください。体系的に学ぶなら、波頭亮さんの『経営戦略概論』や、グロービスの『MBA経営戦略』が役に立ちます。ケースの中で戦略をどう組み立てるかは、マーク・コゼンティーノの『戦略コンサルティング・ファームの面接試験』が参考になります。

簡潔にしすぎると、かえって評価が下がる

ここで一つ、重要な注意があります。「簡潔に、結論から」を意識しすぎて、簡潔にしすぎるのは逆効果です。

結論だけを次々に並べると、この人はきちんと考えていないのではないか、と見られて評価が下がります。

大事なのは、簡潔でありながら、必要な根拠はそれぞれの主張に添えることです。主張のたびに「なぜなら、こうだからです」と理由を付けます。ここは省いてはいけません。

一方で、その根拠の中の細かい数字や枝葉まで話す必要はありません。骨組みになる根拠はしっかり話し、細部は議論に回す。この線の引き方が、ちょうどよい詳しさのコツです。

「漏れなくダブりなく、論理的」なだけでは、ケース面接は通らない

ケース面接の対策を始めると、漏れなくダブりなく整理し、論理的に話せれば通ると考える人がいます。しかし、それだけでは最上位の戦略ファームの面接は通りません。

整理の仕方と論理は、前提にすぎません。評価されるのは、その上で何を論点に置き、どういう答えを出し、面接官とどう議論を深めていけるかです。まずは、高松智史さんの『フェルミ推定の技術』のような本で、評価される答え方の型を身につけるところから始めてください。

ケース面接の評価が決まるのは、最初の発表の後の議論である

最初の発表は、あくまで議論の入り口です。評価を大きく左右するのは、その後に面接官から来る指摘に、どう返せるかです。

ケース面接は、自分でうまく発表できるかどうかではなく、相手からの指摘に議論で返せるかどうかの勝負です。難易度の高いファームほど、鋭い指摘をしてきます。

指摘に返すときも、考え方は同じです。思いつきの奇抜さではなく、出した案に対してきちんと根拠を言えるかどうかが見られます。「こういう施策が有効だと思います。なぜなら、こういう理由だからです」という形で、納得できる答えができれば大丈夫です。

2〜3分で話す力は、声に出して練習しないと身につかない

紙に書いて解くことと、声に出して人に話すことは、まったくの別物です。紙の上では整理できていても、いざ話すと5分以上かかってしまう人は多いです。

練習では、実際に時間を計りながら、声に出して話してください。そして、できれば人を相手に練習します。相手からの指摘に返す練習は、一人ではできないからです。

話し方の参考としては、『フェルミ推定の技術』が役に立ちます。フェルミ推定の本ですが、上から下へ構造立てて話す練習になり、ケースでも同じ姿勢で答えればよいので参考になります。

まとめ:ケース面接の最初の発表で押さえること

  • 最初の発表は、2〜3分を目指します。
  • 結論、検討の流れ、評価の軸、打ち手の順に話します。
  • 戦術の前に、どういう方針で攻めるかという戦略を決めます。
  • それぞれの主張に根拠を添えます。細部は議論に回します。
  • 残りは、面接官と一緒に答えを作っていきます。