戦略ファームを目指す方から、「ケース面接の対策には、どのくらいの期間が必要ですか」「いつ応募に踏み切ればよいですか」という質問をよくいただきます。

結論から言うと、本気で取り組んで3か月が一つの目安です。そして、応募に踏み切る目安は、面接官の経験がある人から「3回受ければ2回くらいは通るだろう」と言ってもらえた段階です。

私たちのうち1人は、事業会社から戦略ファームを受けて入社しました。そのときの経験をもとに、対策の進め方をお伝えします。

ケース面接は、多くの人が思っているよりしっかり対策したほうがよい

まず、世の中には、ケース面接を1か月ほどの準備で受けに行く人がかなりいます。しかも、声に出して話す練習をせず、紙で問題を解くだけで終わらせてしまいます。こうした人の多くは落ちます。

私たちのうち1人は、WEBテストの対策も含めて、半年近く準備しました。絶対に戦略ファームに受かりたくて、念には念を入れたからです。経営戦略の本を半ば趣味で読むなど、遠回りもしたので、効率よくやれば期間はもっと短くできます。ただ、それくらいしっかり対策する価値はある、というのが実感です。

一定の学歴がある人が3か月本気で対策すれば、最上位のファームとまではいかなくても、外資系の戦略ファームのどこかには受かる可能性が十分にあります。

ケース面接は、地頭よりも対策の量と質で決まる

ケース面接は、地頭が良ければ通るものではありません。

申し分のない経歴で、絶対に受かると思っていた人が、全部落ちる例を何人も見てきました。話を聞くと、あまり対策をしていなかったのです。非常にもったいないことです。

ケース面接には独特の作法があります。どれだけ頭が良くても、その作法を知らなければ通りません。逆に、作法さえ身につければ、地頭が飛び抜けていなくても通ります。最低限の水準を超えている人であれば、そこから先は対策の量と質でほぼ決まります。

戦略ファームの選考では、志望動機や経験を聞く面接もあります。それでも、合否はほぼケース面接で決まります。限られた時間は、まずケース面接の対策に使ってください。

ケース面接の対策方法:本で型を入れてから、人と話して鍛える

進め方は、二段構えです。

1. 本で型を身につける

評判のよい市販のケース面接の対策本は、ひととおり読んでください。高松智史さんの『フェルミ推定の技術』も勧めます。読むだけでなく、実際に紙に書いて解きます。

ファームによって、ケースの傾向が違うこともあります。たとえばマッキンゼーは、他の戦略ファームとケースの出され方が異なります。志望するファームが決まっているなら、その傾向に合った本も使ってください。マッキンゼーであれば、『Case in Point』(日本語版もあります)をやり込むことを勧めます。

2. 人を相手に、声に出して練習する

紙で解いているだけでは、本番でどこまで通用するかは分かりません。声に出して人と話すことと、紙で解くことは、まったくの別物だからです。実際に人と話し、その場で指摘を受け、考えて返す。この練習を何度も重ねて、はじめて力がつきます。

2つ目が、対策の中心です。ここに時間を使ってください。

ケース面接の練習相手は、誰でもよいわけではない

練習相手には条件があります。あなたが志望する水準以上のファームで3〜4年ほどの経験があり、面接官も務めたことがある人が理想です。

理由は、ケース面接が、相手からの指摘に議論で返せるかどうかの勝負だからです。経験が1年ほどで、面接官を務めたこともない人と練習しても、あまり意味がありません。本番で来る鋭い指摘を、再現できないからです。

志望先より難易度の低いファームの出身者が相手の場合も、指摘が弱くなるので、練習としては別物になります。難易度の高いファームほど、面接官の指摘は鋭いです。

転職エージェントの担当者でも、知人でも構いません。この条件に合う人を、練習相手として確保してください。高額な有料の対策サービスは、必ずしも必要ではありません。やっていることの中心は、ケースの練習と模擬面接だからです。

何度練習しても、指摘がなくなることはない

練習を重ねても、毎回何かしらの指摘を受けます。前に言われたことを、また繰り返してしまうこともあります。それで自分はコンサルに向いていない、と考える必要はありません。

指摘がなくなるまで練習する、という目標は立てないでください。指摘は、練習相手が改善点を探してくれているから出てくるものです。実際に、50回以上も練習している人はほとんどいません。それだけ重ねていれば、十分に準備ができていると考えてよいです。

完全に自信が持てる日は来ない。応募に踏み切る目安

「まだ自信がないので、もう少し準備してから応募します」という方がいます。しかし、ケース面接を完全に自信を持って受けられる状態は、ほぼ来ません。私たちもそうでした。戦略ファームの同期も、ほとんどが確信を持てないまま受け、その中で何社かに受かっていました。

受けたファームすべてに受かる人は、ほとんどいません。2〜3社に受かって、他は落ちたという人が大半です。多くの人は当落線上にいて、最後は相性のよかったファームに受かります。それが実態です。

ですから、完全な自信を待つ必要はありません。志望先と同じ水準以上の人と実戦の形で練習して、「そこそこ通るのではないか」と言ってもらえたら、そこが踏み切るときです。

戦略ファームでは、WEBテストで落ちることもある

見落とされがちなのが、WEBテストです。総合ファームでは大きな問題になりにくいですが、戦略ファームには、WEBテストの結果で大きく絞り込むファームもあります。

判断推理のような問題や、英語の試験が課されることもあり、ある程度の時間をかけて対策しないと太刀打ちできません。ケース面接の準備が整っても、WEBテストで落ちてしまってはもったいないです。ケース面接の対策と並行して、早めに準備しておいてください。

受ける順番と数も、結果を左右する

応募の段階でも、できることがあります。

  • 難易度の低いファームから順に受ける。 本番の面接そのものが練習になります。本命のファームを受ける頃には、仕上がった状態になります。
  • 幅広く応募する。 書類が通るかどうかには、その時々の採用状況や運も関わります。受かるかどうかも相性に左右されるので、1社に絞らないほうがよいです。

一度落ちたファームには、しばらく再応募できません。準備が足りないまま本命を受けることだけは、避けてください。