戦略ファームを受けるとき、多くの方は知名度や格で志望先を決めます。しかし、入社してから「やりたかった案件がない」「思っていた働き方と違う」と気づく人は少なくありません。
戦略ファームは、どこも同じ仕事をしているように見えて、実際には明確に違いがあります。私たちのうち1人は戦略ファームの出身で、他のファームの出身者とも一緒に働いてきました。その経験から、入社前に確かめておくべきことを3つに絞ってお伝えします。強い業界、案件の規模、若手への任され方です。
戦略コンサルファーム選びで確かめたい3つのこと
1. そのファームが強い業界はどこか
最上位の大手ファームは、ほぼすべての業界を扱っています。しかし、それ以外の戦略ファームは、ファームごとに強い業界が違います。製造業に強いファーム、自動車に強いファーム、消費財に強いファームというように、伝統的な得意分野があり、案件もその周辺に集まります。
ファームによっては、ほとんど案件がない業界もあります。たとえば、公共やDXの仕事をやりたいと思って入ったのに、そういう案件が少ない、あるいはほぼない、ということが起こります。ここは見落とされがちですが、かなり重要な点です。
なお、入社後にどの業界を担当するかは、若手のうちは固定されません。戦略ファームでは、スタッフのうちはさまざまな案件を経験し、マネージャーになるまでに徐々に業界を絞っていくのが一般的です。割り振りは、本人の希望と案件の空き状況で決まります。だからこそ、そのファームにどの業界の案件がどれだけあるかが、経験できる範囲を左右します。
2. 案件の規模と種類
ファームの規模は、案件の中身に影響します。
規模の大きいファームには、全社戦略や全社の変革といった、大企業の経営全体に関わる案件が多くあります。規模の小さいファームでは、事業単位の戦略の案件が中心になります。全社レベルの経営課題に取り組みたいのであれば、規模の大きいファームでないと機会は限られます。
一方で、規模の小さいファームには別の良さがあります。クライアントの規模が一段小さくなる分、経営者との距離が近く、自分の提言が経営に直接反映される実感を得やすいです。
案件の種類もファームによって違います。戦略を作るところまでを仕事にするファームが多い中で、企業再生を出発点とし、クライアントの中に入り込んで実行まで担うファームもあります。提言して終わりではなく、結果が出るまで現場に残るという仕事の仕方で、求められる経験も違ってきます。机上の戦略ではなく、現場で企業を変える経験をしたい人には、そうしたファームが合います。
3. 若手にどこまで任せるか
少人数のファームほど、若手に任される範囲が広くなります。大手では、若手はマネージャーが組み立てた論点の一部を担当することが多いです。少人数のファームでは、早い段階から案件の全体に責任を持ち、提案活動に関わる機会もあります。
これは、聞こえはよいですが、負荷が大きいことの裏返しです。指示を待っていれば仕事が回ってくる環境ではなく、自分で論点を立て、調査を進め、資料を作り、クライアントに説明するところまで自分でやる場面が早く訪れます。激務であることと裁量が大きいことは、切り離せません。
育て方にも違いがあります。採用人数を絞って一人ひとりを丁寧に育てるファームもあれば、重い役割を与えて短期間で力をつけさせるファームもあります。じっくり育ててもらいたい人と、きつくても濃い経験を早く積みたい人とでは、合うファームが違います。
もう一つの判断材料:誰と働くか
ファームの個性は、トップや中心にいる人の個性で決まる面があります。特定の人と働きたくて、他の戦略ファームから移ってくる人もいるくらいです。
入社後に身につく力も、配属されるチームと上司に大きく左右されます。面接で会った人、話を聞いた社員の雰囲気が自分に合うかどうかは、案件の内容と同じくらい大事にしてよい判断材料です。
戦略ファームの違いを入社前に確かめる方法
- 面接で直接聞く。 「どの業界の案件が多いですか」「若手は入社何年目でどこまで任されますか」と聞いて構いません。具体的に聞く人のほうが、真剣に検討していると受け取られます。
- そのファームの出身者に聞く。 直近まで在籍していた人の話が、最も実態に近いです。
- エージェントに聞く。 各ファームの案件の傾向や働き方の違いは、エージェントが把握している情報です。
知名度や格だけで決めず、自分のやりたい領域の案件があるか、望む規模の仕事ができるか、任され方が自分に合うかを、入社前に確かめてください。