「戦略コンサルと総合コンサルは、何が違うのですか」「自分はどちらを受けるべきですか」。コンサルへの転職を考え始めた方から、最初に聞かれることが多い質問です。

私たち2人は、1人が戦略ファーム、もう1人が総合ファームの出身です。2人で話していて強く感じるのは、同じ「コンサル」でも、仕事の中身と求められるものがかなり違うということです。どちらが上という話ではありません。合う人が違います。

この記事では、5つの違いを説明したうえで、どちらが合うかの考え方をお伝えします。

戦略コンサルと総合コンサルの5つの違い

違い1:仕事内容|戦略は「何をやるか」、総合は「どうやるか」まで

戦略コンサルの仕事は、経営者や事業責任者が「何をやるか、何をやらないか」を決めるための材料を作ることです。全社戦略、中期経営計画、新規事業や市場参入、M&Aの戦略とビジネスデューデリジェンスなどが典型です。最初から答えが決まっておらず、曖昧な経営課題を構造化し、仮説を置き、必要な分析だけを高速で回して、経営の意思決定に持っていきます。

総合コンサルは、戦略から業務、ITまでを幅広く扱います。業務改革、基幹システムの導入、大規模プロジェクトの推進管理のように、決めたことを「どうやるか」まで踏み込み、実際に形にするところまで関わる案件が多いです。

ただし、会社の名前で線が引けるわけではありません。総合ファームにも戦略を専門にする部門がありますし、戦略ファームでも実行支援が中心の案件はあります。「経営の意思決定そのものを作っているか」が、戦略らしい仕事かどうかの境目です。

総合ファームの戦略部門も、仮説を立てて検証するという進め方は同じです。ただ、その後に続く実行やシステムの案件まで含めて支援することが多いので、戦略だけを切り出して扱う戦略ファームとは、仕事の進め方が少し違います。

違い2:求められる水準と成長のスピード

戦略ファームでは、論点の構造化、示唆の質、資料の精度、一つの問いを突き詰めて考え抜く力が、高い水準で求められます。ゼロから論点を設計して、自分の頭で答えを出すことが前提です。しかも求められる成長のスピードがめちゃくちゃ速く、1〜2年単位で成長しないと残れない世界です。

総合ファームは、もう少し時間をかけて伸びることができます。戦略ファームで平均程度だった人が、総合ファームに移ると高く評価されることは珍しくありません。実際に、戦略ファームでついていけなくなった方が総合ファームに移り、今はマネージャーとしてしっかり活躍している例を知っています。

これは能力の優劣ではなく、成長のスピードが合うかどうかの問題です。長い目で伸びるタイプの方には、総合ファームのほうが合っている可能性があります。

違い3:チームの規模

戦略ファームは少数精鋭で、数人のチームで動きます。一人ひとりの負荷は重いですが、案件の全体が見えます。

総合ファームには、数十人から数百人で動く大規模な案件があります。こうした案件では、マネージャーですら一つの歯車で、若手の仕事はどうしても作業寄りになります。案件の全容も見えにくいです。

ただ、大規模な案件だからスキルが身につかない、ということはありません。上司の仕事を自分から取りに行く当事者意識がある人は、どんな案件から始めても必ず浮上してきます。

違い4:労働時間|総合コンサルのほうが短い

戦略ファームは間違いなく激務で、プレッシャーも高いです。忙しさは、戦略ファーム、総合ファームの戦略部門、総合ファームのビジネスコンサル部門の順に大きいです。総合ファームは、若手については全体として働きやすくなっています。管理職でも、平均して20時ごろに仕事を終えている人は多くいます。

目安として、投資銀行から移る場合、1日の労働時間は戦略ファームで1〜2時間ほど短くなり、総合ファームではさらに短くなります。ワークライフバランスの改善が目的なら、総合ファームはその目的に合っています。ただし戦略ファームでも、働き方を見直す動きは少しずつ広がっています。

違い5:年収|戦略コンサルが高いが、職位が上がれば逆転もある

同じ職位で比べれば、年収は戦略ファームのほうが高いです。社会人経験4〜10年で戦略ファームに中途入社すると、900万〜1,000万円からのスタートが目安です。総合ファームは、前職によっては入社直後に年収が少し下がることもあります。

ただし、総合ファームでマネージャーになれば、戦略ファームのマネージャー手前の年収を上回ることもあります。早く昇進できる人にとっては、総合ファームでも十分に高い年収が見込めます。

戦略コンサルと総合コンサル、どちらが向いているか

戦略ファームが合うのは、明確に戦略の仕事をやりたい人です。 全社戦略や事業戦略を作りたい、突き詰めて考えること自体が好きだ、短期間で厳しく鍛えられたい、という方です。

総合ファームが合うのは、実行まで関わりたい人、長く続けたい人です。 業務やITまで含めて変革を形にしたい、時間をかけて力をつけたい、家庭との両立も大事にしたい、という方です。ITの知見が身につくことは、戦略ファーム出身者にはない強みにもなります。

なお、総合ファームで経験を積んでから戦略ファームに移る人は普通にいます。最初の選択で、すべてが決まるわけではありません。